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不登校児の保護者へのインテーク面接について【超入門】

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こんにちは、きょんです!

今回は不登校児(不登校生徒)の保護者の方へのインテーク面接で何を聞き取るかについて、ご紹介します。

主に、大学院生や若手心理職向けのかなり基本的な内容【超入門】となります。

インテーク面接とは初回面接のことですが、職場によっては1年目でも自分でしなければならないところもあります。
スクールカウンセラーなどはそうですよね。
若手の方からはインテーク面接についてこんな戸惑いを耳にします。

・院卒1年目でいきなりインテークをするように言われる
・一人職場なので若手でもインテークをしなければならない
・他領域から公認心理師になったが心理職としてのインテークってどうやればいいかわからない  などなど

困りますよね・・・かくいう私も、大学院までは指導教授やカウンセリングセンターのカウンセラーの方々がインテークをしてくださっていたし、授業でインテーク面接ではどうすればよいかについて教わったことがありませんでしたので現場でいきなりインテークをするようにいわれた時には大いに戸惑いました。

とりあえず専門書に助けを求めたのですが、これがまた載っていない!私がうまく探せなかっただけなのかもしれませんが、文言が「主訴を確認する」「生育歴・家族歴を聞き取る」など抽象的過ぎて、1年目には具体的にどうすればいいかわからない!と困った記憶があります。結局先輩たちに助けられてながら覚えていきました・・・

そこで、今回はインテーク面接で具体的に何を聴くのか?についてご紹介します。
具体例として、スクールカウンセラーや教育センターなどの教育領域で、不登校児の親面接を例に挙げて考えていきます。
なお、関係づくりや傾聴というような基本的(だけれどもとても大切)なこと

ここに書かれた内容は順番に質問する訳ではなく、相手に合わせて行っていくことになります。

目次

来談前の親の気持ちを想像し、ねぎらう

一番初めにするのは、来談前の親の気持ちを想像することです。お子さんが不登校になり、すぐに来談する親もいれば、いろいろなことを試した結果来談する親もおられます。ものすごく勇気を振り絞って来談されていることも多いです。家庭の中のうまくいっていないところを他人に話すことは恥ずかしいと思っているかもしれません。口に出すかどうかは別として、<よく相談にいらっしゃいましたね>という態度で丁寧にお話を伺います。

来談経路の確認

私はできるだけ最初に来談経路を確認します。職場によると思いますが、自発来談なのか、関係機関からの紹介なのか(学校、医療機関など)。いつ頃紹介されたのか(紹介されてすぐ来談する人ばかりではなありませんので)、どのように紹介されたのか(子どものカウンセリング・プレイセラピーか、保護者の面接か、検査か等)、紹介されて保護者はどう感じたか、なぜこのタイミングで来談したのか、などを確認します。

不登校が始まった時期 、不登校が続いている期間

不登校はいつ頃から始まったのか。その前に何か環境面での変化はあったか。
不登校が続いている期間はどれぐらいか。例えば「今年の7月から休み始めた」と聞いても、まったく休んでいたのか、少し登校した日があったのか、あったとしたらどうして登校できたのか。

不登校のきっかけ

不登校のきっかけとして思い当たることはあるか。これは「どうして学校を休み始めたのか」とは違う質問です。原因はわからないことも多いのですが、「きっかけ」であれば、1つでなくとも思い当たることがある保護者もいらっしゃいます。例えば先生から強く注意された、友達から嫌なことを言われた、宿題が間に合わなかった・・・しかしこれは「トリガー(ひきがね)」でしかない可能性も大いにあるので、きっかけが原因とは限らないことを意識しておく必要があります。

不登校についての親の考えや感想

不登校についての親の考えや感想は、いくつかの点から確認することができます。例えば「保護者として思い当たる理由は?」。これはご自身でも周りからも再三再四問われていることでしょう。ですので、「何度も尋ねられているかもしれないのですが・・・」と配慮しながらも、私は尋ねるようにしています。すると「先生の対応が・・・(環境)」、「本人が引っ込み思案で自分の気持ちを伝えることが苦手で・・・(性格)」、「こだわりかな。発達障害があるかも(障害・器質)」など色々です。ちなみに、最近は「私の育て方が悪くて・・・」という方は一見減ったように思いますが、それを口に出せないほどに自分を責めている方もいらっしゃるように感じています。

不登校児が抱える問題やストレス

<〇〇さんが悩んでいたことやストレスで思い当たることはありますか?>などと、(こんなにざっくりと尋ねるかどうかは別として)本人の抱える問題やストレスを確認することも大切です。これは、不登校は表面化した行動の1つで、その奥に別の問題やストレスがないかを探っていく質問でもあります。学校、学童、家庭など各場面でどうか、先生、友達、親など各関係でどうかなど。

不登校児と保護者とのコミュニケーションの状況

不登校児と保護者とのコミュニケーションの状況は、家庭での様子が分かるエピソードを尋ねるときに、例えば<〇〇さんがかんしゃくを起こしたときにはお母さんはどうされていることが多いですか?>など本人の言動とそれに対する保護者の反応として確認することを何度か繰り返すことで見えてくることが多いように思います。もちろんインテークで、すべてを正直に話すとは限りませんが、これは私だって初対面の人にはちょっといい格好をすることもありますので同じです。ですが尋ねることで少しでもコミュニケーションが見えてくることがあります。「『うるさい!』と怒鳴っちゃいます」というのと「あえて放置してます」というのと「私も辛くなって別の部屋で泣いてしまって・・・」というのとでは全然違いますよね。保護者から話を聞くときの基本として「刺激ー反応」を拾うこと。さらに細かく言えば、「反応」には「外的反応(言動)」と「内的反応(感じたこと・思ったこと・考えたこと)」があると思いますので、できれば「かんしゃくに対してお母さんはどう感じたのか、どう反応したのか」と尋ねられるとよいですが、主訴にもよりますがインテークであまり探索的にならない方がいい時もあるのでケースバイケースですかね。

家庭環境や親子関係

家庭環境や親子関係については上述の親子でのコミュニケーションを尋ねる中でも見えてくることがあります。それ以外にも、家族構成(家族の人数だけではなく、病気や障害、受験、単身赴任、不登校など各家族の状況も)、親子関係は現在だけではなくこれまでどうだったのか(現在は本人のペースを尊重しているが以前は親が指示的だったとか)なども確認します。

学校についての親の考えや感想

学校について親はどう考えているか。担任は親身に相談に乗ってくれる、親身なのはよいが電話連絡が頻回すぎて困っている、こちらから尋ねないと何もアクションを起こしてくれないと不満、特定の友達のことが心配・・・など担任やクラスメイトを始めとして学校についての親の考えや感想を聞きます。

不登校児に対する今後の望みや希望

保護者は本人に対して今後どうあってほしいと思っているのか。1日でも早く登校してほしいのか、今はしばらく休んでもよいと思っているのか、転校して環境を変えたいのか、学校にこだわらずフリースペースなども検討しているのか、登校の有無ではなく本人の気持ちや考えの成長を重視しているのかなど、今後の望みや希望を聞いておくことも1つです。

不登校についての親が抱える問題や悩み

不登校についての親が抱える問題や悩みを確認します。一言で言えば相談へのニーズの確認です。「不登校」が主訴だとしても「どうしたら子どもが登校できるか」がさしあたりのニーズとは限りません。「登校してくれたらそれでいいけれども、あの手この手でやってみてもダメだった。すぐに登校できなくてもいいけれど、家でずっとゲームばかりしているのが困る」とか「部屋から出てこない」とか「生活リズムが昼夜逆転になる」とかいろいろあります。
また、親自身の問題もあります。例えば、子どもが家にいると仕事に出られず会社での立場が危うくなるとか、ずっと家の中で子どもといると息が詰まるけれど親だけ出かけてもいいのだろうかとか、経済的な心配とかです。
ここは必ずインテークで確認しておきたいところです。

最後に、一通り聞いたら、こちらから現時点での(心理学的)見立てを伝えます。今回は「何を尋ねるか」に関する記事なのでこちらについてはまた今度ということで・・・これが特に難しいとは思うのですが・・・

インテーク面接は親にとって、結果的に話を聞いてもらえて気持ちが落ち着く体験になるかもしれませんが、基本的にはストレスな体験だと思います。ですから、絨毯爆撃的に情報を片っ端から集めるのではなくて、話の流れで「これは聞かれても当然だな」と親が思うことを尋ねていく必要があります。また、こちらから質問をするときには「〇〇について知りたいのでこのことをお聞きしたいけれどいいですか?」と理由を伝えて行うと親もなぜその質問をされるかが分かり、話す・話さないの判断を行いやすくなるでしょう。

あくまで、インテーク未経験の方がこれから行うときに何を尋ねるかをご紹介しました。

より詳しくインテーク面接や親面接(保護者面接)について学びたい方には以下のような書籍もあります。

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親面接、特に心理臨床家が行う親面接について書かれた本はそれほど多くないと思います。こちらの本はその意味で貴重な一冊です。永井先生は首都大学(現都立大学)名誉教授ですがプライベートオフィスなどでずっと臨床もしてこられた方です。親面接で子どもの問題と親の問題を聴く割合は「7:3がよい」と明確に書かれたのはもしかしてはじめかもしれません。本書にも書かれているように、親との関係が深まるほど親の問題も語られやすくなる訳ですが、そこで面接の舵をどう切ればよいかの指針の1つになろうかと思います。

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こちらも貴重な親面接の手引き2冊目です。著者はユング派の方のようですが、内容は実務的で学派を問いません。「第2章 面接の進め方-第1節 インテーク」には、①主訴の重要性、②何を聞き取るか?、③見立て、④親子並行面接への導入とインテークで行うべきことが具体的に丁寧に書かれています。その他にも、(インテークに限りませんが)章を割いて事例が複数載っているのも親面接の実際が分かってありがたいです。

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Q&A方式で200もの臨床で実際に起こり得る質問に答えてくれています。その中でもちろんインテークも取り上げられています。著者は、インテークで行う作業をまず3つに分けています。①信頼関係を作ること、②情報を得て見立てと方針を立てること、③フィードバックをして今後の継続について合意を得ること、です。インテークの最後に見立て(心理学的理解)を伝えることの具体例も書かれていることも大変参考になると思います。

長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました!

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