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学校から発達検査を勧められたら、この3点を確認しましょう

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こんにちは、きょんです!

私は教育関係施設で心理士として働いており、幼児~高校生までの子に発達検査を行ったり、保護者からご相談を受けたりしています。その中で発達検査(WISC-4という検査を念頭に置かれている場合が多い)に関する相談、特に「学校で発達検査を受けるように言われた」というものが多く見られます。

でも、いきなりそんなことを言われたらびっくりするし、不安になりますよね?

不安になって当然です。

今日は「『発達検査を受けてください』と学校から言われたら?」保護者としては何を考えて、
どうすればよいかについて、検査を取る立場から思うことをご紹介します。

発達検査の内容について詳しく説明するようなブログは他にもあるので、
今回は「親として何を考えて、どう動いたらいいか」について書こうと思います。

要点は三つです

1、担任の指導内容とその結果を具体的に確認する
2、学校が発達検査を勧める狙いと検査結果をどう利用したいのかを確認する
3、保護者として検査を我が子に受けさせたいのか、受けさせるならその目的を明らかにする

 ※今回はWISC-4も発達検査と呼んでいますが正しくは知能検査、最も広義には心理検査です。ですが、WISC-4を念頭に「発達検査を」と勧められる方が多いのでこの記事では発達検査としています。

目次

担任の指導内容とその結果を具体的に確認する

〇自分の反応を正直に受け入れる

学校から発達検査を勧められたらまず驚くのではないでしょうか。

「学校ではそんなに問題を起こしているのか」「発達障害なのだろうか」「担任の指導が悪いんじゃないか」「ついに勧められる日が来たか」など様々な気持ちが生じるかと思います。

ですので、発達検査を勧められたその日にすぐ「受ける(受けない)」と回答をする必要は必ずしもありません。
「突然のことで今決められないので少し考えさせてください」と答えても構いません。

むしろ自分の中に生まれた色々な気持ちをまずは正直に受け入れる。

「考える」のはその後でよいです。

〇担任のこれまでの指導内容とその結果を具体的に確認する

私は学校の先生とも日ごろ話をする立場にありますが、学校側が保護者に発達検査を勧める時は、それまで色々な指導をしてきたけれどもうまくいかない時が多いです。

学年などにもよりますが、離席、授業中の不規則発言、先生の指示を聞けない、学習についていけない、お友達とのトラブルなどが続くと、先生は集団を見ている立場上、指導せざるを得ません。それでも改善が見られない時、「この子には発達の特性(≠発達障害発達の凸凹、得意不得意の差が他児より大きいこと)があって、それを踏まえた指導をする方が本人にとってわかりやすいのではないか」と考えられることがあります。

この思考パターン、すなわち「通常の指導で改善しない→発達の特性があるかもしれない」は10年前ぐらいにはすでに優勢でした。すぐ発達特性を理由に据えることの問題はありますが、それによって指導が改善することもあります。

ともあれ、担任がどんな指導を「いつから」「どのように行ったのか」「指導結果はどうなのか(何がうまくいって何がうまくいかないのか)」を具体的に確認してください。できればそれらをメモして相談機関に持っていかれると、検査担当者は助かります。「相談機関に詳しくお伝えしたいので教えてください」とおっしゃれば大抵は教えてくれると思います。

あるいは、担任の中には「一度授業の様子を見に来てください」と言う方もいます。
この背景には「どれだけ行動問題が起こっているか見てもらい親にも危機感を持ってほしい」という狙いを持たれている場合が多いように思います。
「あなたのお子さん、問題ありますよ!」と烙印を押されるために行くなどイヤだと反発を覚えることもあろうかと思います。

しかし学校での様子を直接見る機会などはあまりないでしょうし、支援につなげるかどうかをご自身の目で確かめてからの方がいいかもしれません。
ということで、せっかく見るならば以下の4点をおさえてからにしましょう。

①予めわが子の状態がよろしくない授業や時間帯を聞いてから行く

②見るならば1時間(小学校なら45分、中学校なら50分程度)は見るようにする

③わが子のみならず他の子と見比べる

④子どもは保護者が来ているといつもより頑張るので問題が1回では見えづらいことがある

この4点は押さえたうえで見に行かれるとよいと思います。

学校が発達検査を勧める狙いと検査結果をどう利用したいのかを確認する

 〇学校が「発達検査」を勧める意図・ねらいを確認しましょう

発達検査を直接担任が勧めることはどちらかというと少ないかもしれません。
「相談機関に行ってみたらどうでしょうか」「スクールカウンセラーに相談してみたらどうでしょうか」という風に言われることがあります。

その場合は、必ずそこで、担任は何を相談してほしいと思っているのかを確認しましょう。
担任の意向通りに相談に行く必要はありませんが、
曖昧な形で他の人に相談することは保護者にとっても時間の無駄になってしまうことがあります。

次に、担任やスクールカウンセラーなどから発達検査を勧められた場合、

①担任の想定する発達検査とは具体的に何か

②その検査で担任は何を知りたいのか

③検査結果をどう利用したいのか(後述)

は最低限確認しましょう。この時点で返答があやふやな場合には、管理職に確認してよいです。 

〇検査結果をどう利用したいのか確認しましょう

「検査結果をどう利用したいのか」は検査を勧められた時点で確認しましょう。
学校としては、通常の指導に活かしたいと考えているかもしれないし、検査の先に特別支援教室の利用を提案しようと考えているかもしれません。

ちなみに特別支援教室については、例えば東京都教育委員会のページ第1部(目次・第1章・第2章))に詳しいです。
引用すると、特別支援教室の利用目的は「発達障害等のある児童・生徒が学習上又は生活上の困難を改善・克服し、
可能な限り多くの時間、在籍学級で他の児童・生徒と共に有意義な学校生活を送ることができるようになること」とあります。
ここ、注意してくださいね。強調したいことが伝わりやすいかと思いますので上記の文言を入れ替えますね。
特別支援教室は「学校生活、特に在籍学級で他の児童・生徒と有意義が時間を過ごすことができるようになる」ことが目的です。従って、「将来のために」とか「発達を促すために」では極端なことをいえば利用許可が下りないことがあります。「それは民間療育をご利用ください」となる訳です。
たまに、家では発達凸凹からくるかんしゃくやこだわりで家族が疲弊しているのに、学校だととても「いい子」で過ごしている子。そのような子の場合、親が希望しても特別支援教室の申請許可は下りないことがあります。

では具体的にどのような指導なのか?
これは学校によるのですが、週1~2回、1時間程度、授業を抜けて個別・小集団指導を受けるという形をよく耳にします。
ここで注意しなければならないのは、特別支援教室が近隣の別の学校にしか設置されていない場合です。その場合、授業を抜けて指導を受けにいく時に、保護者の送迎が必要になることがあります。結構これがネックで(親が仕事をしていたりするとできない)利用をあきらめざるを得ない方がいるんですよね・・・


学校から特別支援教室を勧めることは、勧められる子どもや保護者の気持ちを考えて相当慎重になる話題です。

しかし、特別支援教室の申請チャンスは1年の内数回と限られています。
例えば、秋に申請しても翌年度5月から、とかになる可能性もあります。

この場合、可能であれば担任や学校とできるだけ早く率直に話し合い、必要な支援につないであげることが大切と思います。また、これは問題外ですがごくまれに発達検査結果の利用を大して考えていない先生もいなくはないです。
発達検査が広まった結果、「とにかく検査を取ってもらおう」で思考停止してしまっている先生がいるのも事実です。
その場合、発達検査結果を学校に提出しても大して利用されずに数か月後に検査結果をどのように活用しているのか聞いたら「どこに行ったかな・・・」とデスクの引き出しを探し始める先生もいます。

ですから、「検査結果を学校に提出したらどのように利用するのですか?」は必ず確認しましょう。
そしてできるならば、個別指導に関する指導について書面に残しておいてもらえるとよいでしょう。

例えば東京都であれば「学校生活支援シート」があります。
これは特別支援教室が未利用であっても作成してもらえるはずです。
学校生活支援シートであれば、翌年度担任が替わった場合にも引継ぎが可能です。

保護者として検査を我が子に受けさせたいのか、受けさせるならその目的を明らかにする

〇検査を我が子に受けさせたいのか

以上のことを一通り担任や学校に確認したら、最後は「保護者として検査を我が子に受けさせたいか」です。
子どもが「困っている」と言ってくれるならばよいのですが、それをうまく表現できない子も数多くいます。

例えば教室で離席してしまうのは「45分間も着席できないよ!」という子どものSOSの場合でもあるわけです。
または、いずれの形でも困り感が出ていないこともあるかもしれません。

すぐに受け入れられない時期があっても致し方ないと思いますが、
少し気持ちが落ち着いたら、我が子の来し方行く末について考える時間を持っていただければ思います。

子ども自身が現在は困っていなくても、将来的に困ると保護者が考える場合なども判断材料となるでしょう。
もちろん、色々考えられても迷いが続く場合もあると思います。

その場合にも、正直に「迷っている」ということを相談機関(医療機関)に相談するのも1つです
(担任やスクールカウンセラーへの相談でも構いませんが)。

検査を受けたい場合も、迷う場合も、相談する機関はどんなところがあるのか?
それは、地域の教育センターや医療機関、私設心理相談機関などが多いです。
地域の教育センターは、ネットでも見つかるでしょうし、お住いの自治体の教育委員会の組織に入っているところも多いので尋ねれば教えてもらえると思います。
全国の一覧が見当たらなかったのですが、一例として東京都の教育委員会の一覧を載せておきます(東京都教育相談センター)。
私設の心理相談機関を調べたい時の方法の1つとして、心理相談の最も歴史ある資格である臨床心理士資格を持っている方がしている私設心理相談機関を調べる方法があります。それは日本全国臨床心理士会のサイトにある「臨床心理士に出会うには」というページです。全国の臨床心理士による私設心理相談機関を調べることができます。
なお、地域の情報が分からない場合は担任や管理職、スクールカウンセラーなどに尋ねてみるのも1つでしょう。

〇検査を受けさせる目的をできるだけ明らかにしましょう

これは実はそれほど難しいことではないかもしれません。
親として子どもの学校生活で心配なこと、でよいと思います。

検査はあくまで手段です。
相談機関(医療機関)では、初回相談で心配事をお話しされて、来談者の「検査を受けたい」という希望が自動的に通るとは限りません。

ということはすなわち、心配事の解決や改善に向けて検査が最適な手段かどうかを相談することができるということにもなります。
その中で、検査目的を絞り込んでいけるとよいのではないでしょうか。
そういえば、最近こんな本が出ていて読んでみましたが、検査を有効活用するためには保護者の方も読まれるといいかもしれません。

どちらも保護者の方々も読めますが、個人的には熊上先生の本が内容がコンパクトにまとまっているのでとっかかり1冊としては読みやすいかと思います。
そこから更に深く学びたい方は安住先生の本を読まれると詳しく検査について知ることができると思います。

最近、「学校に検査を受けるように言われたので来ました」という相談が増えてきている印象があるので、
現場の一心理職として思うことを書いてみました。

参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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