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スクールカウンセラーの募集に新規応募する前に考えておきたいこと

*この記事はアフィリエイト広告を利用しています

こんにちは、きょんです!

今回はスクールカウンセラーに関する記事です。
秋以降にスクールカウンセラーの新規募集が各自治体で出されると思います。
それに先立ち、スクールカウンセラーに応募する前に確認しておけるとよさそうなことをまとめました。


ちなみに私は以前、某自治体で数年間働いていました。
今も仲間はスクールカウンセラーをしていたり、私自身も別の立場で学校現場に出入りしており、
現場を見たり、話を色々聞いたりする立場にいます。

そこで今回は、スクールカウンセラーに応募するにあたって予め確認したり考えておく方がよいポイントをまとめてみました。

目次

雇用契約上の問題

不安定な雇用形態

多くの自治体でスクールカウンセラーは会計年度任用職員として1年ごとの契約更新となっています
この雇用形態は本質的に不安定であり、長期的なキャリアプランを立てにくい状況を生み出しています。
2024年には東京都で、契約更新の上限に達したスクールカウンセラーの多くが「雇止め」に遭う事態が発生し、
大きな問題となりました
ちなみにこの問題では心理職ユニオンさんが熱心に問題の発信や働きかけを行ってくださっていたと思います。

雇用継続の不透明性

2024年の東京都の事例では、経験豊富なスクールカウンセラーが突然の「雇止め」に直面し、その選考基準も不透明でした
このような状況は、専門性や経験が適切に評価されていない可能性を示唆しています。
何より教育委員会は「公平性を期すために、勤務評価は考慮しない」と述べていましたね。
行政はしばしば横並びになりやすいため、今後は他の自治体でも同様の対応が出てくることが危惧されます。
応募を検討する際は、自身のキャリアがどのように評価され、
継続的な雇用がどの程度保証されるのかを慎重に見極める必要があります。

待遇面の課題

スクールカウンセラーの待遇については、雇用の不安定さに加えて、給与水準や福利厚生の面でも課題があります
多くは時給か日給かと思います。しかし夏休みなどの長期休暇に収入がないことを考えると、年収ベースで計算すべきです(その後、12か月で割って1か月いくらぐらいになるか調べると良いかと思います)。
福利厚生面では、雇用保険しか入れないことがおそらく多いです(勤務時間等の関係で)。すると厚生年金は実質的に利用できなくなり、老後の収入にも響きます。その分、自分で資産形成を考えなければなりません。
とすると、例えば2校勤務で年間400万円程度の収入となっても、高くないのです。
また、専門職への評価としても決して十分とは言えない水準です

業務上の問題

限られた勤務時間

これも自治体によりますが、1日の勤務時間で考えると、週1日4~8時間程度が多いのではないでしょうか。
この限られた時間内で複雑な問題に対応することが求められます
いじめ、不登校、家庭環境の問題など、多岐にわたる課題に取り組むには、
この勤務形態では十分な時間が確保できない可能性があります。
従って、残業は実際問題として発生します。そもそも、学校の先生を捕まえられるのは授業が終わった後、もっと言えば夕会なども終わった17時以降などが多いのではないでしょうか。
私も、これはまったくよくない話ですが、19時20時まで残っていたこともザラでした(契約上は17時半とかです)。
学校現場は残業意識が乏しいです。それもあって、サービス残業になりがちです(契約上は他の勤務時間を残業した分減らせますが、面接予約が埋まっていることも多く実現不可能であることも多かったです)。

継続的支援の困難さ

短時間・非常勤の勤務形態は、児童生徒や保護者との信頼関係構築や継続的な支援を難しくしています。
特に、発達支援が必要な子どもたちにとっては、長期的な関わりが重要ですが、現在の雇用形態ではそれが保証されません
この辺りは、自治体や学校がスクールカウンセラーに何を期待しているかによって違うと思います。
継続面接を続けてほしいか、行動観察等を行ってほしいか、教職員へのコンサルをしてほしいかなどあります。
個人的には、生活支援員さんとの関係は非常に大事。この方々が毎日のように教室に入り込んで気がかりは子どもたちへの個別対応をしてくださっているからです。細やかに見ておられる方が多いです。

学校システムへの統合の課題

スクールカウンセラーは外部の専門家として学校に入るため、
教職員との連携や学校システムへの統合に困難を感じることがあります。
限られた勤務時間内で効果的に機能するためには、学校側の理解と協力が不可欠ですが、
それが十分に得られない場合もあります。
学校の先生はとにかく忙しいのと、個人的には「教室の運営は自分で何とかしなければ」との意識が高すぎるからか、
スクールカウンセラーへの失望が高いのか分かりませんが、自分から話しかけてくれる方は少ないです。
つまり仕事は自分から働きかけてもらうしかない。ある種の節度を持った図々しさが必要だと思います。
学校システムにどう統合するかは決定的でなく、統合されているように見えても、「あの先生だったから」と属人性に頼りがちです。
ですから、次のスクールカウンセラーに替わったとたん、
システムに統合されなくなるみたいことは平気で起こります(大問題ですが現実です)。

専門性の発揮と評価

専門性の適切な評価

スクールカウンセラーの専門性が適切に評価され、処遇に反映されているかは大きな課題です。
特に、経験豊富なスクールカウンセラーが「雇止め」の対象となった2024年の事例は、
専門性の評価システムに疑問を投げかけています

継続的な研修機会

スクールカウンセラーとしての専門性を維持・向上させるための研修機会が十分に提供されているかも重要な検討点です。
非常勤の場合は、特に学校現場ではスクールカウンセラーとしては一人であることが多いと思います(大規模校は複数名いることもありますが)。その場合に、教員のように「〇年次研修」など組織が研修機会を与えてはくれません。
地域の臨床心理士会や公認心理師協会などで研修機会を見つけて「有料で」受ける必要があります。
これは本来的におかしなことだと思いますが現時点ではやむを得ません。

心理的負担

ストレスマネジメント

スクールカウンセラーは児童生徒や保護者、教職員の深刻な問題に日々向き合うため、高いストレスにさらされる可能性があります。心理職ユニオンさんによる調査結果(2021)もあります。

ストレス内容割合 (%)
時間外の無償労働66.0
雇用の不安定さ61.0
社会保障がない56.0
教職員・管理職との関係50.0
勤務時間内に仕事が終わらない48.0
相談室の環境44.0
研修の機会が少ない43.0
休憩時間がとれない41.0
交通費の自己負担38.0
相談件数が多い36.0

時間外の無償労働や雇用の不安定が多く回答されています。
これらのような業務上の構造的な問題がこのストレスを増幅させる可能性があります

バーンアウトのリスク

継続的な高ストレス状態は、バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクを高めます。
スクールカウンセラーとして働く上で、自身のメンタルヘルスケアをどのように行うかも重要な検討課題です。

今後の展望と対策

常勤化への動き

スクールカウンセラーの常勤化を求める声が高まっています
常勤化が実現すれば、より安定した雇用と充実した支援体制が期待できます。
しかし、実現までには時間がかかる可能性が高いため、現状での対応も考える必要があります。

個人的には、非常勤の契約も残しておいて欲しいです。
スクールカウンセラーには外部性が重要(ユーザーから見ても)と思うからです。

スキルアップと多様なキャリアパス

スクールカウンセラーとしてのスキルを磨きながら、同時に他の領域でのキャリアも模索することが重要かもしれません。
例えば、医療福祉、教育領域や研究職、私設の相談室の開室を目指すなど、
多様なキャリアパスを検討することで、雇用の不安定さに対するリスクヘッジとなる可能性があります。
2024年の東京都の雇止め問題が発生した以上、なおさらです。

ネットワーク構築

同じ立場のスクールカウンセラー同士でのネットワーク構築は、情報共有や相互サポートの面で非常に重要です。
心理職ユニオンさんのような労働組合への参加も、権利擁護や労働条件改善の観点から検討に値するでしょう

まとめ

これからスクールカウンセラーに応募を検討している方々にとって、上記の課題は決して小さくありません。
しかし、これらの課題を十分に理解し、対策を講じることで、より充実した活動を展開できる可能性があります。
子どもたちの心の健康を支える重要な役割を担うスクールカウンセラーの皆さんには、
ぜひ自身の権利や労働環境にも目を向けていただきたいと思います。
そうすることで、より長期的かつ安定的に、専門性を発揮し続けることができるはずです。
その結果、子どもや保護者にも利益を提供できると考えます。
現在スクールカウンセラーの皆さんの献身的な努力に、場末の一心理職としても心から敬意を表します。
これから応募される方も、後悔の少ない選択になることを願っています。

ちなみに、新規に応募される前に読んでおくとよさそうなスクールカウンセラー本をいくつかご紹介しておきます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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